起こりうる合併症
●感染(術後眼内炎)
眼内に細菌が入って増殖して炎症を起こした状態です。以前より水晶体の濁りをとるための傷の大きさが小さくなり、眼内炎が起こる確率は非常に低くなっています。(頻度は約.005%)
感染予防のために、術前術後の点眼が大切です。眼内炎になった場合は、薬物治療、場合によっては手術が必要になります。炎症が強い場合は視力障害が残ることがあります。
●駆逐性出血(脈絡膜出血)
手術中に眼内に突然大量の出血が生じる事で、この場合創を速やかに閉鎖させ手術を終了します。極端に視力が下がる事があります。現在の小切開白内障手術では、眼内炎と同じく、発生頻度は非常に低い(0.03~0.06%)ですが、最も重い合併症の一つです。コントロール不良な高血圧や糖尿病がある方、過去に眼手術をしたことがある方は通常よりも起こす確率が高くなることがあります。
●眼内レンズを挿入できない
水晶体を支える組織が弱く、水晶体をすべて取り除けない場合や、眼内レンズを挿入するだけではなく、眼球に固定する手術が必要になる場合があります。ほとんどの場合は同日にすべての手術を終えますが、後日追加手術をすることがあります。
●術後の度数ずれ
術前に決めた焦点の合う距離にずれが生じることがあります。元々、近視や遠視が強い方、レーシック後の方は術後の度数ずれが起こりやすい傾向があります。近年、測定機器の性能が向上しており、ずれることはかなり減少していますが、まれにずれが大きくなる場合があり、その際は相談のうえ、後日眼内レンズの入れ替え手術を検討することがあります。
※基本的には、ほとんどの合併症がまれなものですが、万が一起こった場合最善の方法で対処させて頂きます。
その他、術後に起こり得ること
●結膜下出血
結膜(白目)の細い血管が切れて、内出血を起こすことがあります。見た目以外は心配のないものです。点眼麻酔のみの場合はほとんど起こりませんが、テノン嚢下麻酔をしたときに起こりやすくなります。打ち身で皮膚が紫色になるのと同じで、時間の経過とともに吸収されて無くなります。
●後発白内障
水晶体を包んでいる薄い膜(水晶体嚢)の後ろ側の部分(後嚢)が術後数か月から数年で濁ってくることがあり、これを後発白内障といいます。起こる頻度は10~30%で、症状は白内障と同じように、視力低下、かすむなどです。後発白内障は、外来でレーザーで治療可能です。特に痛みもなく、数分で終わります。術後の生活制限などもありません。通常、再発することはないですが、まれに再発する場合があり、その場合は再度レーザーで治療します。